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★手術で鼻づまりが改善するって本当?〜鼻づまりの原因とその改善手術〜

 皆さんの中で、鼻がつまってお困りの方はおられませんか?

 風邪をひいてちょっとのあいだ鼻がつまっただけでもつらいのに、年がら年中鼻がつまっているのはとてもつらいことですよね。中には口でしか呼吸できずに、口の中がカラカラになったり、のどがイガイガしたりする方もおられます。

 もしかして鼻がつまりすぎて、市販の点鼻薬ばかり使ってはいませんか?市販の点鼻薬の使いすぎが良くないことは、以前にブログで書きました。

 今回の記事では、点鼻薬ではなく鼻づまりを治す手術について書きたいと思います。

鼻の中はどんな構造をしているのか?

 鼻の中はみなさんが思っている以上に複雑な構造をしています。

 下の図をごらんください。左右の鼻を隔てている真ん中の壁が鼻中隔です。その鼻中隔で隔てられている左右の鼻の中は”がらんどう”になっているのではなく、”でこぼこ”しています。中鼻甲介下鼻甲介という出っ張りがあるのです。

 これらの構造物はそれぞれ大事な役割を果たしているのですが、人によっては極端に曲がったり、極端に腫れているために、それが鼻づまりの原因になっているのです。

 

鼻づまり改善手術のいろいろ

 では鼻づまりの原因にはどのようなものがあって、それに対して行う鼻づまりを改善する手術にはどのようなものがあるでしょうか。

 拙著『あんしん健康ナビ 花粉症・アレルギー性鼻炎』から一部引用してご紹介しましょう。

♦粘膜下下鼻甲介骨切除術・下鼻甲介粘膜切除術
 鼻の中でいちばん出っ張っている場所が下鼻甲介です。その下鼻甲介は、アレルギー炎症のいちばん起きている部分で、アレルギー性鼻炎の方は、この下鼻甲介が腫れて鼻づまりを起こしています。
 ですから、その下鼻甲介のボリュームを小さくするために、その粘膜を一部切除したり、中にある骨だけを取り除いたりする手術です。
(中略)
 年がら年中症状のあるダニやホコリなどのアレルギー性鼻炎の人によく行います。

♦鼻中隔矯正術
 成人の約8割が、多かれ少なかれ鼻中隔(鼻の真ん中の仕切り)が曲がっています。
 曲がっていても、それで何も症状がなければ、そのままにしていても何ともありません。
 しかし、曲がり方が強い場合には、鼻づまりの症状の原因になります。またアレルギー性鼻炎で鼻の粘膜が腫れている人は、鼻中隔が曲がっていると、鼻づまりが余計に悪化してしまいます。
 このように鼻中隔の曲がりが鼻づまりの原因になっている場合には、曲がりを治す手術を行います。

 
  (くの字型に曲がっている鼻中隔:CT検査)

鼻づまり改善手術の効果

 下に示した論文は、鼻づまり改善手術の効果を調べた研究です。

 鼻中隔が曲がっていて鼻づまりがある患者さんを、手術をするグループ手術をせずに点鼻薬などで治療するグループの2つにランダムに振り分けます。

 それらの人を1年間追跡すると、手術をしたグループのほうがしなかったグループよりも生活の質が良かったという結果でした。しかもその効果は2年後になっても続いていたそうです。

 慢性的な鼻づまりでお困りの方は、ぜひお近くの耳鼻咽喉科でご相談ください。
 鼻が通るようになると人生変わりますよ!!

 

今回参考にした論文は、
van Egmond MMHT, et al. Septoplasty with or without concurrent turbinate surgery versus non-surgical management for nasal obstruction in adults with a deviated septum: a pragmatic, randomised controlled trial. Lancet. 2019; 394(10195): 314-321.
doi: 10.1016/S0140-6736(19)30354-X
です。

Research Question:

 鼻中隔弯曲を伴う成人の鼻閉に対する鼻中隔矯正術の有効性を評価する。

方法:

 デザイン:
  オープン、多施設、実用的(pragmatic)、無作為化比較対照試験
 対象:
  鼻閉があり、鼻中隔が弯曲しており、鼻中隔矯正術の適応がある18歳以上の成人
  期間は2013年9月2日〜2016年12月12日
  (オランダの16の二次病院と2つの三次病院)
 介入:
  下記の2群に1:1で無作為割付け
  手術群:鼻中隔矯正術±下鼻甲介切除術を受ける群
  対照群:保存的治療を受ける群
 主要評価項目:
  治療開始後(術後)12カ月時点でのQOL
  (Glasgow Health Status Inventory [GHSI] を用いて評価)
 解析:
  intention-to-treat解析

結果:

  • 203名の参加者がエントリーされ、102名が手術群、101名が対照群に割り付けられた。
  • その内、189名に対して12カ月後の評価ができた。
  • 12カ月後のGHSIスコアの平均±標準偏差は、手術群で72.2±12.2、対照群で63.9±14.5であり、平均差は8.3[95%信頼区間: 4.5-12.1]で手術群が有意にQOLが高かった。また、この効果は24カ月後にも維持された。
  • 有害事象は、手術群においては鼻中隔膿瘍が1例、鼻中隔穿孔が2例あり、対照群での報告はなかった。

結論:

 鼻中隔弯曲を伴う成人の鼻閉に対する鼻中隔矯正術は、保存的治療よりも有効である。この有効性は24カ月後まで維持された。

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