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★のどを鍛えて長生きしよう

 健康に長生きをしたいという思いは、万人の共通した思いだと思います。

 健康に長生きするコツはいろいろあると思いますが、のどを若く保つことも大事なことです。

むせずに食べられる”健康なのど”

 のどには、食べる働き声を出す(呼吸する)働きの2つの大きな働きがありますが、今回は食べる働きを取り上げたいと思います。

 食べる働きを嚥下機能といいます。嚥下機能については、以前もこのブログで話題にしましたので、ごらんください。

良く噛んで、良く飲み込んで健康な食事を | 耳鼻咽喉科医の独り言

2020年4月に、 日本耳鼻咽喉科学会と 日本歯科医師会とが共同で「摂食嚥下障害診療における耳鼻咽喉科と歯科との連携」に関する提言 が出されました。 摂食嚥下障害診療においては、口腔、咽頭、喉頭などの摂食嚥下器官を診療対象とする耳鼻咽喉科と、口腔などを診療対象とする歯科との役割が極めて大きい。 (中略) …

 年をとると、身体の筋力が落ちるのと同じように、嚥下機能も低下していきます。嚥下機能が悪くなると、誤嚥といって、食べ物が気管に入ってしまい、ひどくなると肺炎になってしまうことがあります。

むせそうになった時に咳ができるか

「咳」と聞くとなにか悪者のように思う人が多いかもしれませんが、咳が出るということは大事な生体の防御反応なのです。

 食べ物が何かの拍子で気管に入りかかった時に、咳が反射的に起こります。そうすることで、食べ物が気管に入らずに済むのです。

 もし咳が反射的に起こらなければ、知らぬうちに食べ物が気管の中に入ってしまうことになります。

 高齢になって咳の反射が出にくくなると、知らず知らずのうちに自分の唾液を誤嚥してしまうことがあります。唾液が気管の中に入っていても咳が出ないからです。これを不顕性誤嚥といいます。

不顕性誤嚥は死亡率を高める

 下にあげた論文は、不顕性誤嚥のあるなしによって、死亡率がどれくらい変わるかを調べた研究です。

 誤嚥によって肺炎になり入院した患者さんの中で、不顕性誤嚥のある人とない人とを比べたところ、不顕性誤嚥のある人のほうが死亡率が高かったそうです。

 むせずに食べられる健康なのどを保って、長生きしましょう!

 

今回参考にした論文は、
Nakashima T, et al. Silent aspiration predicts mortality in older adults with aspiration pneumonia admitted to acute hospitals. Geriatr Gerontol Int. 2018; 18(6): 828-832.
doi: 10.1111/ggi.13250
です。

Research Question:

 不顕性誤嚥(SA)が誤嚥性肺炎患者の死亡率と関連するか。

方法:

 デザイン:
  コホート研究
 対象:
  多施設の急性期病院に入院した誤嚥性肺炎患者 170名
 不顕性誤嚥の評価:
  咳テスト:1%クエン酸ミスト吸入後の咳嗽潜時時間
       29秒未満を非SA群、29秒以上をSA群とした
 主要評価項目:
  群間の死亡率の差
 副次評価項目:
  日常生活動作の活動度:Barthel Index (BI)
  口腔内の状態:Oral Health Assessment Tool (OHAT)

結果:

  • 患者の平均年齢は84.0±8.8歳であった。
  • 患者の82%が中等度の誤嚥性肺炎を有していた。
  • 99名(58.2%)がSA群、71名(41.8%)が非SA群であった。
  • SA群で9名、非SA群で1名が1カ月以内に死亡した(p=0.047)。
  • 多変量回帰分析を行い、交絡因子を調整したところ、SAが死亡率と関連していた。調整オッズ比 2.65(95%信頼区間 1.01-6.98、p=0.049)
  • 非SA群と比較して、SA群患者は
    BIスコアが低く(日常生活動作の活動度が低く)
    (SA群 5 [0-45]、非SA群 30 [5-65];中央値と四分位範囲、p=0.023)
    OHATスコアも高かった(口腔内状態が不良であった)
    (SA群 5.3±3.2、非SA群 3.8±3.1、p=0.003)

結論:

 咳テストで検出されたSAは、高齢の誤嚥性肺炎患者の 1カ月死亡率と関連があった。咳嗽反射療法の強化が誤嚥性肺炎患者の回復に役立つかどうかを調べるためには、さらなる研究が必要である。

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