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★睡眠時無呼吸はアルツハイマー病のリスクになるか

 睡眠時無呼吸症候群とは、夜寝ている間に、何度も息が止まってしまう病気です。睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気かについては以下のサイトに寄稿しましたので、ご一読ください。

いびきと睡眠時無呼吸の違いは?危険度を日中の眠気でセルフチェック – 1万年堂出版

1日24時間のうち6〜8時間寝ているとすれば、人生の3分の1から4分の1は寝ていることになります。 「よい睡眠は人生を変える」といっても過言ではありません。 「そういえばうちのお父さんはゴジラのようないびきをかいている」 …

睡眠時無呼吸があると何が問題か?

 睡眠時無呼吸があるということは、ちょうど毎晩首を絞められながら寝ているようなものです。

 夜しっかり眠っているつもりでも、熟睡できていませんので、日中に強い眠気に襲われて、仕事の効率が落ちてしまいますし、場合によっては交通事故などを起こしやすくなります。

 それだけではありません。
 十分睡眠ができないと身体に負担がかかりますから、睡眠時無呼吸は高血圧、糖尿病など生活習慣病の原因の一つになるともいわれています。果ては脳卒中や心臓病を引き起こし、命にかかわります。

 今回とりあげた論文は、約4000人の睡眠時無呼吸症候群患者と、約16000人の健常者を比較した台湾の研究で、睡眠時無呼吸症候群とアルツハイマー病との関連を調べた研究です。

 睡眠時無呼吸症候群があると、アルツハイマー病を発症しやすくなるという結果が得られました。また、睡眠時無呼吸症候群に適切な治療を行うことで、アルツハイマー病の発症リスクが抑えられるという結果も得られました。

 よい睡眠で健康な身体を作りましょう。

 いびきがひどいとか、寝ている間に息が止まっていると家族から言われた方、あるいは日中の眠気が気になる方は、ぜひ医師にご相談ください。

 

今回参考にした論文は、
Tsai MS, et al. Risk of alzheimer’s disease in obstructive sleep apnea patients with or without treatment: Real-world evidence. Laryngoscope. 2020; [published online ahead of print]
doi: 10.1002/lary.28558
です。

Research Question:

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者に対して治療を行うかどうかによって、アルツハイマー病(AD)のリスクは変化するのか。

方法:

 デザイン:
  後方視的コホート研究
 患者:
  1997年から2012年に新たにOSAと診断された患者を、
  台湾の国民健康保険研究データベースから抽出した。
 比較対象:
  OSAを発症していない患者を同じデータベースから抽出し、
  年齢、性別、居住地の都市化レベル、所得でマッチングさせた。
 マッチングの人数比:
  OSA:非OSA=1:4
 追跡期間:
  全ての患者を死亡するまで、または2013年末まで追跡した。
 主要評価項目:
  ADの発症
 統計解析:
  Cox比例ハザードモデル

結果:

  • OSA患者3,978人と非OSA患者15,912人が抽出された。
  • OSAは、AD発症と独立かつ有意に関連していた(調整ハザード比:2.12 [1.27-3.56])。
  • OSA発症からAD発症までの平均期間は5.44年(標準偏差:2.96年)であった。
  • サブグループ解析の結果、60歳以上の患者、男性、CPAP治療や手術治療を受けていない患者、薬物療法を受けていない患者において、OSAのAD発症に与える影響は有意であった。
  • 治療(CPAPまたは手術)を受けたOSA患者は、治療を受けていない患者と比較して、AD発症のリスクが有意に減少した(発症率比 0.23 [0.06-0.98])。
  • []内は95%信頼区間。

結論:

 OSAは、AD発症リスクの増加と独立に関連している。また、OSAの治療はOSA患者のAD発症リスクを低下させる。
 ADは不可逆性の疾患であるため、OSAの治療はAD発症のプロセスを遅らせたり、予防したりするためターゲットとなる可能性がある。

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