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★カラオケは認知機能やのどの機能を良くするのか?

 人間だれしも「老い」には逆らうことができません。しかし、老いをできるだけ少なくして、元気に老後を過ごすことはできます。

学習療法〜認知症予防の訓練〜

 認知症を予防したり、認知機能を訓練する方法の一つに、学習療法というのがあります。
 文章を声に出して読み上げたり、計算問題を解いたりするものです。
 それを行うことによって、認知機能が維持・改善すると言われています。

 では、皆さんの大好きなカラオケはどうでしょうか。

カラオケで認知症予防

 下に示した論文は、カラオケをトレーニングとして行うことによって、認知機能や身体機能を維持したり改善するのにどれくらい効果があるのかを調べた研究です。

 確かに、介護施設や老人ホームを訪問すると、皆さんで歌を歌ったりしているのを目にします。
  

 今回の研究では、ただ歌を歌うのではなくて、歌詞を見てその通りに歌うことで、学習療法で文章を音読しているのに似た効果がないかということを調べています。

 その結果、別のトレーニングをした人達よりも、カラオケトレーニングをした人のほうが、認知機能が改善しました。

カラオケでのどの機能も改善?

 さらに、呼吸機能(一生懸命息を吸う能力)や舌の筋力が良くなることもわかりました。

 このことから、食べ物をむせずに飲み込める働き(嚥下機能)が維持・向上できた、とまでは言い切れませんが、食べ物を飲み込むのに大事な舌の筋力や呼吸の働きが改善したのであれば、嚥下機能の維持に一役買っているのかもしれません。

 いずれにしろ、楽しく歌を歌って、認知症や老化を予防できるのであれば、カラオケは手軽に出来るよい方法かもしれません。

 新型コロナによる自粛で家にいることが多いと思いますが、皆さんも家でカラオケをしてみてはいかがでしょうか。無料のスマホアプリもありますよ。

 ただし、近所迷惑にならないように注意してくださいね。

‎Pokekara – 採点カラオケアプリ

このアプリとしてはとてもいい!無料にしては曲が充実しすぎているし、自分の声も録音できてさらに投稿も出来るのは凄すぎる!ランキングで上位に入った時は嬉しくなり、もっと練習したいという気持ちが湧いてきます。しかし、改善してほしい、機能を追加してほしい、という事もいくつかあります!●歌うときに自分の音程のバーも追加してほしいです!coolやgradeやperfectでも良いんですが自分が歌ってるの…

 

今回参考にした論文は、
Miyazaki A, et al. Frequent Karaoke Training Improves Frontal Executive Cognitive Skills, Tongue Pressure, and Respiratory Function in Elderly People: Pilot Study from a Randomized Controlled Trial. Int J Environ Res Public Health. 2020; 17(4): 1459.
doi: 10.3390/ijerph17041459
です。

Research Question:

 頻繁なカラオケトレーニングは、高齢者の認知能力を向上させ、身体機能障害のリスクを低減させるか。

方法:

 デザイン:
  単盲検ランダム化比較試験
 対象:
  東京都練馬区の介護施設に居住する65歳以上の高齢者 26名
  (おおむね健康か最小限のケアのみを必要としている人
   で運動療法に参加していない人を対象とした)
 割付:
  カラオケトレーニングを行う群(カラオケ群)とスクラッチアートを行う群
  (対照群)の2群にランダム割付
  (認知機能と身体機能の評価者やトレーナーは割付けを知らされなかった)
  12週間、週1回2時間のプログラムへの参加を求められ、うち少なくとも9回
  は参加してもらった。
 評価:
  プログラム開始前と終了後に行った。
  ・認知機能:モントリオール認知評価(MoCA)、前頭葉評価法(FAB)
  ・身体機能:舌圧計をもちいた舌圧測定、スパイロメトリー
  ・心理検査:老年期うつ病尺度(GDS)、生活満足度指数-K(LSI-K)
  ・その他の評価:身長、体重、BMI、骨格筋量指数(SMI)
 主要評価項目:
  トレーニングの前後でのFABの変化
 統計解析:
  ANCOVA

結果:

  • 平均年齢は82.43歳(範囲:69〜93歳)、うち女性が78.26%であった。
  • カラオケ群に14名、対照群12名が割り付けられ、最終評価ができたのは、カラオケ群が13名、対照群が10名であった。
  • MoCAやSMIから、参加者はサルコペニアの境界領域にいて、軽度認知障害(MCI)の境界領域にいることがわかった。
  • 認知機能の変化
    • FABの変化
      対照群(平均 -1.80;SD 2.44)に比べて、介入群(平均 0.77;SD 1.97) で有意な改善がみられた(F = 8.04、permutation p-value = 0.013)。
    • MoCAの変化には有意な差はみられなかった。
    • FABのサブスコアでは、Conflicting Instructions(干渉に対する感受性)スコアおよびGo No-Go(抑制性コントロール)スコアで、介入群で有意な改善が認められた。
  • 身体機能の変化
    • 舌圧の変化
      対照群(平均 -1.55;SD 3.40)に比べて、介入群(平均 3.71;SD 5.96) で有意な改善がみられた(F = 4.49、permutation p-value = 0.040)。
    • FIV1(吸気一秒量)の変化
      対照群(平均 -0.29;SD 0.42)に比べて、介入群(平均 0.18;SD 0.37) で有意な改善がみられた(F = 5.22、permutation p-value = 0.047)。
    • FVCやFEV1の変化には有意な差はみられなかった。
  • 心理検査の変化
    • GDSやLSI-Kの変化には有意な差はみられなかった。

結論:

 介護施設に入所している高齢者を対象に、カラオケトレーニングを行ったところ、従来の学習療法(文章の音読)と同様に、認知機能が改善した。また、呼吸機能や舌圧といった身体機能の改善ももたらした。
 カラオケトレーニングは、参加者に楽しく芸術的な介入を提供し、well-beingを向上させることが示唆される。 

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