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★メタボの人は睡眠時の無呼吸が多い

 睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている時に息が何度も止まってしまう病気です。睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気かについては以下のサイトに寄稿しましたので、ご一読ください。

いびきと睡眠時無呼吸の違いは?危険度を日中の眠気でセルフチェック – 1万年堂出版

1日24時間のうち6〜8時間寝ているとすれば、人生の3分の1から4分の1は寝ていることになります。 「よい睡眠は人生を変える」といっても過言ではありません。 「そういえばうちのお父さんはゴジラのようないびきをかいている」 …

肥満だけが睡眠時無呼吸のリスクではない

 睡眠時無呼吸になりやすい人はどんな人でしょうか。

 まず思い浮かぶのは太った人(肥満)ではないでしょうか。太っていると、首の周りの肉がのどを圧迫して寝ている時に息がしづらくなることは容易に想像できます。

 これまで、肥満が睡眠時無呼吸症候群と関連することは注目されてきましたが、肥満がなくてもメタボリック症候群などの生活習慣病があれば、睡眠時無呼吸の発症率は上昇することがわかってきました。
 

メタボの人は睡眠時無呼吸が多い

 下に示した論文は、ながはまコホート事業(滋賀県長浜市の住民の健康状態を長年にわたって調査研究している)の中で、睡眠時の呼吸障害と生活習慣病との関連を解析した研究です。

 それによると、肥満がなくても高血圧や糖尿病、メタボリック症候群などの持病があると、睡眠時無呼吸の発症率は高くなっていることが分かりました。

 それに加えて、性別でも差があり、男性>閉経後の女性>閉経前の女性の順で発症率が高いことがわかりました。
(男性ホルモンが睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させるという報告があり、もしかしたら性ホルモンが睡眠時無呼吸症候群と関連がある可能性があります。文献

 アジア人は欧米人よりも肥満の人の割合が少ないため、睡眠時無呼吸症候群が少ないと思われていましたが、他の民族での研究と比較しても、睡眠時無呼吸症候群の発症率に大きな差はないようです。

 ですから、やせているから大丈夫とは言い切れないということのようです。

 夜間のいびき、無呼吸を家族から言われたり、日中の眠気がひどかったりという症状があればなおさらですが、そのような自覚がなくても生活習慣病で通院中の方は一度ご自身の睡眠に目を向けてみられると良いかもしれません。

 

今回参考にした論文は、
Matsumoto T, et al. Sleep disordered breathing and metabolic comorbidities across gender and menopausal status in East Asians; the Nagahama Study [published online ahead of print]. Eur Respir J. 2020; 1902251.
doi: 10.1183/13993003.02251-2019
です。

Research Question:

 日本人の睡眠障害呼吸(SDB)の有病率が、肥満の重症度や合併症とどのように関連しているか。

方法:

 デザイン:
  横断研究
 対象:
  滋賀県長浜市で行っている「ながはまコホート事業」に参加しており
  夜間のパルスオキシメーター検査を2泊以上行った7,713人
 SBDの評価:
  腕時計型アクチグラフィで計測
  睡眠時間を補正した3%の酸素飽和度低下指数(Acti-ODI3%)で
  SBDの重症度を評価した。

結果:

  • SDBの有病率は、
     正常:41.0% [39.9-42.1]
     軽症:46.9% [45.8-48.0]
     中等症:10.1% [9.5-10.8]
     重症:2.0% [1.7-2.3] であった。
  • 有病率は性差が顕著であった(男性>閉経後の女性>閉経前の女性)
     正常:男性19%、閉経前女性74%、閉経後女性40%
     軽症:男性58%、閉経前女性25%、閉経後女性51%
     中等症:男性19%、閉経前女性2%、閉経後女性8%
     重症:男性5%、閉経前女性0%、閉経後女性1%
  • 有病率は、高齢になるほど、また肥満になるほど高くなった。
    特に40歳未満では、BMIが25以上になると中等症〜重症のSDBの頻度は40倍にもなった。
  • 高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームは中等度〜重度のSDB有病率と独立して関連していた(高血圧:2.3倍、糖尿病:1.5倍、脂質異常症:1.5倍、メタボリック症候群:2.2倍)。
  • 上記疾患に肥満が合併するとSDB有病率がさらに高くなった。(肥満が合併した脂質異常症は有意な関連はなかった。)
    • 肥満が合併したときのオッズ比は
       高血圧:8.2 [6.6-10.2]
       糖尿病:7.8 [5.6-10.9]
       メタボリック症候群:6.7 [5.2-8.6] であった。
  • 降圧薬の服用数は、SDBと関連していた(p for trend<0.001)。
  • 中等度〜重度のSDBにおける睡眠時のSpO2<90%累積時間の割合は、肥満度の増加に伴って増加した。
  • 眠気や主観的な睡眠の質の低下は、中等症〜重度のSDBと関連は認められなかった。
  • []内は95%信頼区間。

結論:

 メタボリックな合併症は、肥満の程度にかかわらず、SDBに寄与している。肥満およびメタボリックな合併症を有する患者における中等度〜重度のSDBの有病率が極めて高いことを認識すべきである。

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