昨日、イソジンうがいと水うがいのどちらが風邪予防に効果があるかについて書きました。
イソジンは風邪予防に効果はなく、水うがいのほうが予防効果があることを紹介しました。
★風邪にはイソジンうがいより水うがいのほうが効果あり | 耳鼻咽喉科医の独り言
「イソジン(ポビドンヨード)うがいが新型コロナウイルス感染症の重症化を防げる効果がある 」と、某知事が記者会見で発表し、話題になっています。 果たして本当なのでしょうか。……
その話題を外来のスタッフと話をしていたら、「先生、お茶でうがいをしたほうがいいって聞いたことありますがどうなんですか?」と聞かれました。
すぐに答えられたら格好良かったのですが、答えを持ち合わせていなかったので、早速文献を探してみました。
緑茶やその成分(カテキン)でうがいをする効果は?
下に示した論文は、緑茶やその成分(主にカテキン)でうがいをすると、インフルエンザ感染を予防できるかを調べた研究を集めてまとめたものです。
それによると、1890人(5つの研究)のデータをまとめた結果、緑茶やその成分でうがいをするほうが、それ以外(水やプラセボでうがいする or うがいしない)よりもインフルエンザ感染を3割ほど予防できたという結果でした。
あくまでこの研究の対象は、インフルエンザであって、新型コロナについてはよく分かっていません。
今回参考にした論文は、
Ide K, et al. Effect of gargling with tea and ingredients of tea on the prevention of influenza infection: a meta-analysis. BMC Public Health. 2016; 16: 396.
doi: 10.1186/s12889-016-3083-0
です。
Research Question:
お茶とその成分でうがいをすることがインフルエンザ感染予防に及ぼす効果はどれほどあるのか。
方法:
デザイン:
メタアナリシス
対象研究:
お茶やその成分によるうがいのインフルエンザ感染予防効果を評価する
ために行われた無作為化比較試験および前向きコホート研究
検索:
Cochrane Library、PubMed/MEDLINE (1966年〜2015年9月)、
Web of Science (1981年〜2015年9月)、医中誌Web (1983年〜2015年9月)
から検索した。
主要評価項目:
抗原検査で確認されたインフルエンザ感染
評価・分析:
独立した2人のレビュアーによって評価された。
包含基準を満たした研究は、固定効果モデルのMantel-Haenszel法
を用いてプールされた。また、ランダム効果モデルでも分析された。
モデル適合の質は、赤池情報基準(AIC)とベイズ情報基準(BIC)を用い
て評価した。
結果:
- メタアナリシスの包含基準を満たした5件の研究が同定された。
- 参加者総数は1890人、年齢範囲は16~83歳であった。
- お茶またはその成分でうがいをした参加者は、プラセボ/水でうがいをした参加者、またはうがいをしなかった参加者に比べてインフルエンザ感染のリスクが低かった。
- 固定効果モデル:相対リスク(RR):0.70 [0.54-0.89]
- ランダム効果モデル:RR:0.71 [0.56-0.91]
- 固定効果モデルは、ランダム効果モデルよりも適合の質が高かった。
- 固定効果モデル:AIC = 6.04、BIC = 5.65
- ランダム効果モデル:AIC = 8.74、BIC = 7.52
結論:
お茶でうがいをすることは、インフルエンザ感染症の予防効果があるかもしれない。
しかし、その効果をしっかり確認するためには、異なる集団を対象とした追加の大規模研究と、それらの研究をプールした分析が必要である。
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